余りに真剣な目なので首を傾げつつ、声を掛ける。

「要くん、私に何かあるの?」

「いや。有紗は相変わらず字が綺麗だなとプリント見て思ってさ」

「ふふ、ありがとう。大変なら手伝うけど?」

「これくらいどうって事ない。またな」

私の頭に手をポンと置いてから、集めたプリント片手に教室を出て行く要くんの後ろ姿を見送った。


「イケメンは後ろ姿にも死角なし。後ろ姿まで綺麗とかずるいでしょ……」

あまり行儀は良くない肩肘ついて片手に顔を載せつつも呟いていたら、背後から声がする。


「確かに、アイツ背筋伸びてるし、背は高いし見た目だけはそこそこよね!」

「日菜っち、そこそこ所か結構良いでしょ?幼なじみだから見慣れてるだけじゃない?ま、俺の方がカッコイイ?」

「は?、バッカじゃないの!?ふ、ふん!」

振り返って見つめてても繰り広げられた二人の会話。
あら?これは、思ってたより随分早く二人の距離感が変わったようだ。

「日菜子、蒼くん!」

「ん?」
「なに?」

「おめでとう、仲良くね?」

ニコッと言えば、蒼くんは嬉しそうに。
日菜子は照れているが、すかさず私へ突っ込んでくる。


「なんで、私たちが言う前に分かるかなぁ」