眩しさの中、最初で最後の恋をした。


私は少し家庭科部を覗いたあとは、午後は自由時間になっていたのでいつものメンバー四人で校内を回っていた。

午後はメインステージの体育館で軽音楽部のライブがある。
今年はミスターコンテスト出場者がボーカルのバンドがあるので、体育館は人がいっぱいだった。

「ハルト!!」

ワーッと歓声があがり、バンドが登場した。
制服を着崩し、ちょっと軽い感じのメンバーが並ぶとボーカルとギターの子が掛け合いながらバンド紹介を始めた。

体育館の中のテンションがどんどん上がっていく。
そうして演奏が始まれば会場の空気が一気に湧いた。

コピーしている演奏だけれど、どのメンバーも上手く、ボーカルの声は力強くよく伸びる、耳に心地よい歌声。

聴かせてくる、バラードから一気にアップテンポのナンバー。
どれも演奏して歌ってるメンバーが楽しそうで、惹き込まれた。

「実は最後の曲はある人とセッションしたいんだ。人気の曲だからいきなり振っても受けてさえくれれば大丈夫だと思うんだよね」

そんな言葉を発した後、チラリと目線がこちらに向いて目が合うとニコッと笑って言った。

「ね、学園のマドンナ!汐月有紗さん!ぜひステージに上がってよ!」

なんで?!
驚いていると、このグループの前に演奏してた子が私を迎えに来る。

「先輩、お願いします。俺らは放課後の歌姫のファンなんですよ」

そんな、意味深なことを言う。