「私が目立つの嫌いなのは知ってるはずよね?嫌がるの分かってるのに。むしろ辞退する気だったのを断念したのも知ってるくせに、どうしてそんなことをしたの?」
私の静かなままの一言一言に、四人は顔を見合わせてから要くんが口を開く。
「有紗、ごめん。俺知ってたけど止めなかった。ちょっと憧れてたんだよ。好きな子とこういうイベントで並べたら、良い思い出になると思ってたから……」
反省と、気恥しさがあるのだろう。
要くんは視線を下向きにしつつ言った。
「こんなこと言うと普段の俺とはかけ離れてるだろ?だから都合良く周りに流されてた。有紗に嫌な思いさせるってところに考えが至らなかった。本当にごめん……」
普段はしっかり者で落ち着いてる要くんも、年相応の男の子だったんだとこんな状況でやっと気づいた。
私との思い出だと思ってくれたこと。
じわりと怒りが溶けて胸が温かくなってくる。
「これ以上は広めないで。とりあえず参加しちゃってるものは仕方ないから、出た結果はちゃんと受け止めるから」
ため息混じりに返事をすれば、四人はホッと一息ついて肩の力を抜いた。
「普段怒らない有紗を怒らせちゃったね。本当にごめんなさい」
日菜子と蒼くん、茜も謝ってくれて。
とりあえずこの件はもう言わないことにした。
楽しいはずの文化祭、嫌な気持ちで過ごしたくないからね。



