「要くんが迎えに来てくれてたところで、運良く受け止めてもらったから怪我もないし大丈夫なの。そんな心配しなくて平気だよ」

私がしっかりと受け答えするから、心配そうな顔は変わらないけれど仕方なさそうに一息つくと、日菜子は言った。

「大丈夫なのね?でも無理しないでダメだったら保健室に行くのよ!」
「うん、無理はしないから。大丈夫だからとりあえずこの、オーダーの品届けてくるね」

当番の時間は二時間。
大盛況で常に席が埋まる人気っぷりに驚きつつ、店番をこなした。

そうして、店番の交代の時間になりエプロンを外すと同じくエプロンを外した日菜子と蒼くん、要くんが声を掛けてきた。

「有紗!もう家庭科部の店番も無いんでしょう?一緒に校内回ろう!」

明るく元気いっぱいな日菜子に笑いながら返事を返す。

「うん、一緒に回ろう!まずどこ行くの?」

聞いてみれば、日菜子はニヤっと笑って言った。

「もちろん、茜の所のお化け屋敷でしょ!」

そんな訳で、私達はまず隣のクラスの茜が居るお化け屋敷へと行くことにした。
たまに悲鳴が聞こえてきてて、どうなってるのか気にはなっていたんだよね。
怖いもの見たさ的な?

すれ違うお化け屋敷から出てきた下級生たちの声が聞こえてくる。

「ヤバイ、なんなの。なんでこんなに怖いの!」
と言い合っていて、私達は顔を見合わせつつお化け屋敷に辿り着いて中に入ったのだった。