「にやけんな。」
「す、すいません……」
顔を隠しながら勉強道具を鞄からとる。
あー、幸せ。
密室で二人きりって素晴らしいシチュエーション。
そんな私をよそに、西田先輩は勉強を始めてしまう。
うわー、その真剣な表情!
かっこいい、絵になる。
写真撮りたい、撮りたいけど我慢。
私も真剣にテキストに取り組む。
でも序盤からわからない。
「西田先輩。」
「なに。」
「数学って私の敵です。
わかりません。」
「早速かよ、早すぎ。」
呆れながらも西田先輩は顔を上げ、私の方を見てくれる。
「お前ってまじで国語しかできねぇんだな。
最初は国語もできなかったくせに。」
「そうですけど、今できるからいいじゃないです……か……えっ?
な、なんで私が国語得意って知ってるんですか…?」
しかも最初はできなかったって。
私ができなかったのは中学の頃で。
「…お前、結構前に言ってただろ自分で。
それくらい覚えとけよ。」
「い、言いましたっけ?」
でも西田先輩が言うからそうなんだろう。
確かに最初の方は私のことを覚えてもらうために自分のこといっぱい話してた気がする。
内容はほとんど覚えてない。
でも……
「そんな前のこと覚えててくれたんですね!
私覚えてなかったのに。」
「そこでバカって印象ついたから。」
「ひ、ひどい…!」
やっぱり西田先輩、ひどいです。
でも嬉しい。



