「じゃあお言葉に甘えて!」



私は西田先輩の手を握る。



私の手なんかよりも大きくてしっかりしているその手はやっぱり男の人の手だった。



これは初めて触れたかもしれない。
西田先輩と。



こうやってお互い同意の上でね。



嬉しい、今日も幸せスタート。



朝は少し不満だったけど、今はもうすっかりそんな不満も吹き飛んでしまった。



単純だな、私って。



わかってても嬉しいもん。
自然と笑みがこぼれてしまう。



その時、西田先輩が私の手をギュッと握りしめてきた。



パッと西田先輩を見るけど、西田先輩は顔をそらしてこっちを見ない。



でも耳は赤い。
これは、西田先輩なりのお返しだ。



頑張ってるのが伝わってきて嬉しい。



「西田先輩。」
「……なに。」



「周りから見たら恋人ですね?」
「どうでもいい。」



どうでもよくないくせに。



私が目移りするって言ったから焦ったんだよきっと。



今日は手をつないで登校したため、視線がいつも以上に集まる。



そんな視線なんて気にせず、私はつながれた手をもう一度強く握り返した。