ーーー私たち以外、誰もいない静かで暗い道を晴人先輩と歩く。
あの後、なんとも言えない空気のまま相川先生たちと別れた。
相川先生はまだ戸惑っていたけど、それは私も同じだった。
そして晴人先輩に手を引かれ、お互い一言も話さずに電車に乗って私の駅で降りる。
どうやら送ってくれるらしく、その時初めて晴人先輩は口を開いた。
「……送る。」
言い方こそ素っ気ないけど、そこには優しさが詰まっていて。
そうだ、あの頃も。
なんだかんだ私の話を最後まで聞いてくれた。
「……晴人先輩、だったんですね。」
ようやく私も話すことができた。
「ずっと同期だと思ってました。」
「だろうな。
最初はいきなりタメで生意気なやつだなって思ったけど、同期と思ってるって気づいた時はびっくりした。」
晴人先輩は昔を懐かしむようにして笑った。
ああ、その笑顔も好きだな。



