別にまだ好きとか、そういうのはもうない。
だって晴人先輩で頭がいっぱいだもん。
でも、さ。
思い出しちゃうじゃん。
あの日のこと。
ある意味苦い思い出なんだし……
「……あれ?
って、莉乃ちゃんと晴人じゃん!
ここ最近よく会うな。」
なんて考えていたら、相川先生が私たちに気づいた。
って、ん?
私、たち……?
理解できなくて頭が真っ白になる。
そんな私の手を、晴人先輩はいつもより強く握りしめる。
何故だろう、苦い思い出のはずなのに、そんな思いをしないのは晴人先輩がいるから?
ぎゅっとつながれた手を見て、安心する。
今なら堂々とできる気がして、私は晴人先輩の横に立つ。
そんな私を晴人先輩は心配そうに見つめてきた。
どうして、そんな心配そうな顔してるの…?
モヤモヤは膨れるばかり。



