「莉乃。」
「……っ。」
名前を呼ばれるだけでこんなにもドキドキしてしまうなんて。
「なんでそらすんだよ。」
「み、見れません……」
「こっち向け。」
低く甘い声で、私を誘う。
ずるいです、ずるすぎです。
ゆっくりと、もう一度晴人先輩の方を向く。
すると私を見て目を見張った晴人先輩。
かと思えば満足そうに笑って……
「俺は前から莉乃が好きだ。」
と言うんだ。
ずるい、本当に。
私を殺す気なんだと思う。
前からって、いつから?
気づいてたってこと?
どちらにせよ、やっと言ってくれた言葉。
好きな人から言われる好きは
こんなにもドキドキして全身があつくなって。
温かくなるしどこか泣きそうにもなる。
「私も晴人先輩が好きです……!」
耐えきれなくなって、ぎゅっと抱きつく。
「……っ!?
お前、いきなりこんなことすんなよ…」
ぎゅーっと晴人先輩に抱きついてみれば、晴人先輩の鼓動が速くなっていく。
私と同じでドキドキしてるんだって思ったら嬉しい。



