だって、少し離れたところにいたのは……
「に、しだせんぱい……?」
綺麗な女の人と二人で歩いている西田先輩が目に入った。
私とは違う綺麗なタイプの人。
女の人が西田先輩に話しかけ、それで無表情の西田先輩だったけど、途端に少し照れたような顔になる。
私しか知らない顔だと思ってたのに。
そう思うとどこか苦しくなって、胸がモヤモヤした。
あれ、なんでこんなに苦しいんだろ。
西田先輩は私のこと好きなはずなのに。
ならこんなにも苦しくならないはずなのに。
もう嫌だよ、前みたいな苦しい思いをするのは。
「あ、本当だ……って、すっげぇ美人もいる。」
そんな時、西田先輩が前を向いて私と目が合ったような気がした。
そして目を見開いて私と同じように固まる西田先輩。
大丈夫、もう私はあの頃の自分じゃないから。
「あー!西田先輩じゃないですか!!」
だからわざと大きな声を出して西田先輩の名前を呼ぶ。