『あの男子って?』
あっ、しまった。
つい言葉に出てしまっていたのか。
途端に西田先輩の声がさらに低くなる。
不機嫌モードだ。
「あ、えっと、なんでもないです。」
『言え。』
で、ですよねー。
ダメだ怒ってるよ可愛い。
って違う違う。
急いで弁解を。
「中学の時塾通ってたって言ってたじゃないですか。
その時に国語の個別の授業でペアだった男子がいたんですけど、思い出せないんです。
口悪かったとか、でも優しかったとか、私のこと下の名前で呼んでたのは覚えてるんですけど
顔と名前がどうしても思い出せなくて……」
下の名前で呼んでると言ったのは、実は西田先輩を嫉妬させようと思ったり。
だけど西田先輩からの返答なし。
あれ、相当怒った?
『……本気でお前うざいわ。』
「はい?」
『なんでもない。
もう切るぞ、このバカ園田。』
それだけ言って西田先輩に電話を切られてしまう。
「………へ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。



