siten 蝶野 羽久安

放課後私は帰っていたが何故か私の隣には楽しそうに歩く七夏がいた。なぜ私は七夏と一緒に帰っているのだろうか。

「でも、蝶羽って驚いたな~」

「…」

「本当に…強いの?」

「…」

「でも、確か蝶羽には右腕…っ!?」

「それ以上言ったら次は外さない」

「…ご、ごめんなさい」

颯斗の話を持ち出そうとした七夏の側にあった看板を七夏の顔ギリギリに殴る。看板は凹んでいてそれを見て七夏は怯えていた。

私は無視して歩き始める。
相当驚いたのか七夏は私についてくることはなかった。私は久々についた拳を見ると少し切れていた。

やっぱり七夏に話したのは失敗だったのかもしれないな。でも、あいつは龍南には話してはいないらしいく案外素直なだけなのかもしれないな…。

家に着きリビングにある救急箱を出して軽く消毒をする。

「あら、どうしたの」

「…べつに」

「喧嘩したの?」

「…看板殴っただけ」

「看板ってまたなんで」

「べつに」

私は救急箱を戻してリビングを出て部屋に入る。ベッドに横になり天井をただじっと見つめていた。

気付いたら眠っていて目が覚めた時には夜中の2時を回っていた。嫌な時間に目が覚めたかもしれない。

私はベッドから起き上がり制服を脱いでリビングに行くと時計の針だけが静かなリビングに響いていた。

冷蔵庫を開けると飲み物が入ってなく私は静かに家を出て歩いて5分のコンビニ行き緑茶を買いコンビニを出るとコンビニにヤンキー共が6人ほど屯っていた。

私は嫌な予感がして素早くその場を通り過ぎるがヤンキー共がニヤニヤしながら私の後を追ってきた。

私は立ち止まり振り返るとヤンキー共が私を囲んでニヤニヤしていた。

「きみ可愛いね」

「俺らと遊ばない?」

「…」

「てか、マジで可愛くね?」

「な?レベル高すぎだろ」

「な、俺らと楽しいことしようぜ?」

「…吐き気がする」

「ああ?」

「こいつ今俺ら見て吐き気するってよ」

「俺ら怒らせない方が身のためだぜ?」

「…」

「俺は灰嵐(はいらん)だぜ?お嬢ちゃんもさすがに知ってるだろ?」

「…」

「お、怯えちゃった?」

灰嵐…聞いたことがある。

明樟と対抗している敵校の西高のテッペン張ってる奴らだ。こいつらはその下っ端だろう。灰嵐と言う言葉を使って脅しているんだろう。

けど、私にはそんなの無意味なんだよ。
ただ少しめんどうな奴らかもしれない。

灰嵐の一人が私に手を伸ばして来たのを無意識に掴んでしまいそいつの腕を捻りバランスを崩させて腹に蹴りを入れて放り投げる。

その一瞬の光景に残りの灰嵐の奴らが呆然と立ち尽くしていた。

私は何事もなくその場を去ろうとするが肩を掴まれて私はその腕を引っ張り頭突きをして気絶をさせる。

残りの奴がムキになって私に殴りかかって来るのを避けて私は一人に蹴りを入れて殴りかかって来る奴の顔面に素早く拳を突きバランスを崩してる隙にほかの奴に回し蹴りを食らわし倒す。

残りの2人の内1人に顔面に拳を突き髪を掴みもう一人に蹴りを入れて掴んでいた一人をそいつに放り投げてやると2人同時に倒れ込んだ

「…な、なんだよこいつ」

「…っぅ…ば、バケモンだ…っ」

「…」

灰嵐の残った奴らが倒れた奴らを支えこの場を立ち去っていった。私は久々の喧嘩に左手の拳を見つめる。

落ちた緑茶を拾い家に帰ろと振り返るとそこには会ってはいけない奴らに出会す。

「…」

「うわ…すげぇもん見たわ」

「きみ強いんだな」

「お前何者だ!?」

「…」

まさか龍南に見られてしまうなんて最悪な事態だ。龍南は私に気付いてないらしく私を見て興奮していた。

あ…いま眼鏡とかしてないから気付いてないんだな。良かった。

私は龍南を無視してこの場を去ろうとすると

「…蝶羽?」

「…っ」

「南人蝶羽がこんな所にいるわけないだろ」

「…だよな…」

「…っ」

「それに蝶羽は金髪でもっと美人なはずだ」

「…ああ」

さらっと高田翔太は毒舌を吐いたが私は気にせずその場を去る。家に着き私は部屋に入りベッドに倒れ込む。

灰嵐を殴った感覚がまだ残っている。
蝶羽と喧嘩を捨ててからもう1年が立った。
久々の感覚に私は少し動揺していた。

「颯斗…私は…」

気付いたらまた眠っていて目が覚めると空は明るくなっていて時間を見ると8時を回っていた。

やば…普通に遅刻なんだけど。
私はベッドから起き上がり制服に着替えて髪を整えて眼鏡をかけて鞄を持ちリビングに行くとお母さんがいた。

「あら、やっと起きたのね」

「…起こしてよ」

「学校行きたくないのかと思ってね」

「ま、いいや」