「何で見つからないんだよ…名前位分かったって良いのに」


少年は道行く人々に手当たり次第聞いた。

しかし全員が首を横に振り、見たこともないと答えた。


「ねえお兄ちゃん…見れるかな?」

「五月蝿いなあ……お前は黙ってろ!大体なんで見たいだなんて…」


少女が不安になり始めた。苛立つ少年は少女に当たった。


「ごめんなさいー…私が…見たいって言わなければ…

もう我侭言わないから怒らないでー…」

「あ…えーっとその…」


突然泣き出してしまった少女に、少年は戸惑い出した。

少年は少女をなだめ始めた。


「…泣くな…お兄ちゃんが見つけてやるから…な?」

『おやおや。兄妹喧嘩ですか?』