少女は泣き崩れた。急すぎる別れに酷く衝撃を受けた。

そして少女は向こうの世界に、最愛の彼が待っているという衝動に駆られ、

高層ビルの屋上でジャンプした。空に近づこうと、必死にジャンプした。

フェンスを越えて飛び降りようとは思わなかった。地に落ちると感じたからだろう。

屋上でずっとジャンプをしていた少女は諦めて、フェンスによさりかかった。

フェンスが脆かったせいか、フェンスと共に少女は落ちた。

そしてそのままこの世を去った。

ほんの一瞬だけ後悔と不安が脳裏をよぎり、すぐに消えた。

少女が次に目を覚ました時、背中に翼があることに気付いた。少女は思った。

これであの人に会えるかもしれない、と。しかしその思いはすぐに崩れた。

少女は翼で向こうの世界へ行った。しかし最愛の人はそこにはいなかった。

少女のいる世界とはまた別の世界にいるのか、それは分からない。

分かるのは姿がない事。

再び少女は泣き崩れた。衝撃はこれだけでは終わらなかった。

周りの人々は翼はないのに、少女にはあった。そのせいで忌み嫌われた。

“自由と大切な物を求めすぎた人間”と。