たし、三嶋夏架（みしまなつか）。




今年入学したばかりの高校一年生。





そんなあたしには、クラスに嫌いなやつがいる。




「おい、アホ三嶋、教科書見せろ」




授業中、後ろの席から、真顔で命令してくるコイツ。



コイツがあたしの嫌いな男。




「いーやーでーす、隣に見せてもらえばいいじゃん」




アホとかいう奴に誰が見せるかっつーの！




「あ？お前の教科書は俺のもんだろーが」



「はあっ？！…あ、ちょ…！」



「もーらい」




授業中にも関わらず、なんの躊躇もなしに椅子から立ち上がりあたしの教科書を取り上げられた。



勝手に落書きなんかされてるし。



すると、その男の、隣の席の女子がクスクスと笑ってる。




「もう愛斗〜、あたしの見せようか〜？」




派手な格好で、いつもこの男に、くっついてる女の子だ。



すると、その男は意地悪な笑顔を浮かべてあたしを見た。




「いや、いい。コイツ頭わりーからどうせ教科書とか使わねーだろうし」



「あははっ。ひっどーい！愛斗」




わざとらしくこの男の名前を呼び捨てするのが、女の怖さっていうか…。



この男があたしに関わってくるから、こうやって女子を敵に回しちゃうんじゃん〜。



てか、頭悪いって言うな！！！！！




ほんと最悪…。