以前こんな夢、見た事ある。

あの時の続きじゃないか

そんな事はよくある。

そういう時こそ、今夢だと解ってしまう。
以前はここで空を飛んだけど、また飛べるかなとか
こんな展開だったから、逃げられるなとか

夢の世界を先読みする事も出来る。


それでも今までそんな連続した世界は、片手で足りる位の回数しか続かなかった。

今回もそうだろうと思っていた。

けど、今回は違った。


「流石に毎日同じ世界の設定の夢は見ないよね」

夢の中の優奈はやけに冷静だった。

毎日毎日同じ世界の夢ばかり見る。

自然豊かなその世界は、夢の世界らしい生き物が存在して、ゲームにありそうな職業もあって

正しく夢の世界、という展開だった。

「まるでRPGの世界だよ」

優奈はこの世界を探索していた。
現在7日連続同じ世界の夢を見ている。

この世界には時間という概念があるらしい。

昨日覗いた雑貨屋に今回も訪れると、今日も来てくれたのって、笑顔で言われた時は驚いた。

「……でも私はこの世界で何をしたらいいのだろう」

雑貨屋で欲しい物があっても買えない。
何故ならお金が無いから。

現実世界とは通貨の単位が違う。
働きたくても勇者や戦士といった戦闘物は、嫌だった。
優奈の直感では、やけにリアルなこの世界で死んだら、本当に死んでしまいそうな気がしたからだ。

では花屋とか飲食店でバイトをしようと思っても、この世界での優奈は家無し状態であり、不可能だ。

夢の世界の優奈は、無職、家無し、無一文という絶望的な状態だった。

「歩き回るしかないんだね…」

ふぅ…と、小さな溜息と共に漏れる言葉は、賑わう街並みに掻き消されいく。

宛もなく彷徨う事をこれ程まで苦痛と思わなかった。