ピンポンピンポンピンポン!!

何度も鳴らすが、樹は出て来ない。

仕方なく、伊藤さんに貸してる部屋を訪ねることにした。

ピンポン!

カチャ。

ドアに手をかけると………開いた。

玄関には、樹の靴が………。

「樹………樹!!」

いくら呼んでも、返事がない。

仕方なく、心で伊藤さんに謝って………廊下を進んで行った。

「…………………樹??」

ソッとリビングのドアを開けて、小声で樹を呼ぶ。

「「「ハッピィバースデー!!」」」

大きな声とクラッカーのパンッ!!という音が響く。

「うわぁ!!」

びっくりする俺に、大喜びの3人!

……………3人???

そう、樹と望月さんと………伊藤さんだ。

「……………伊藤さん???」

「こんばんは。お邪魔してます。
先生、お誕生日おめでとうございます。」

彼女の思いがけない登場に、本当に驚いた。

「ささっ!和君、そんな所に突っ立ってないで座って!」

テーブルには、色々買い込んだんだろう食べ物が……

ところ狭しと並んでいる。

席につくと

「じゃあ、ケーキを取ってこよう。
電気を切るよ。
ハッピィバースデートゥユー、ハッピィバースデートゥユー」と

オジサンと女子高生二人の、奇妙なバースデーソングが流れた。

「「「おめでとう!!」」」

「ほら、願い事をしてからロウソクを消して!!」

樹の言葉に……………

咄嗟に、浮かんだ願いは……………

『このままが続きますように。』だった。

願い事をしてロウソクを消すと、再び

「「「おめでとう!!」」」と言われて

どれだけめでたいんだ!と笑った。