「大丈夫か?顔腫れてるけど」
風矢が私のところまで来て肩に手を置き、


「…大丈夫、ありがとう」
私は、風矢から離れるように一歩下がった。
「これってさ、板野のせいだよな?」


「…」
「本当にお前ら付き合ってんの?文化祭の時見たけど、萌愛なんかあいつに振り回されてるようにしか見えなかった。今も辛い思いして。」


風矢はいつでも誰にでも優しい。そこが好き。でも、今は苦しい。その優しさが…


「萌愛がこんな思いする必要なくね?」
「簡単に言わないで!」


今の私は、多分誰かを傷つけることしかできない。
余裕がないから。