さっきも来季くんに同じこと言われたな。
「あ、ごめんなさい…板野くんって呼ぶね?」
私がそういうも納得してない様子。


「龍樹って呼べよ」
「え?」


板野くんは私をじっと見ながら近づいてくる。私は一歩一歩後ろに下がる。
「俺ら付き合ってんだぞ?呼べよ」


「わ、わかった!」
ついに私は、壁に追いやられた。
「今呼べよ」
「え、それは…」
板野くんは有無を言わせない顔をしてる。


「た、た…つき」
「もっとスムーズに言えよ」


「うぅ…ごめんなさい。た、つき」
「もっと」
意地悪だ。もう勘弁してほしい。


「ふぅー…龍樹!」
私は決心しそう大きな声で言った。
そして、龍樹を見ると顔が赤い?


熱かな?昨日から変なこと言ってるのってそのせい?
そう思いながら顔をマジマジ見てると
「えっ!」


抱きつかれた。
「ちょっ、たつき?」
まだ呼び慣れないな…


「んだよ」
「熱…」
「んなもんねぇーよ、ばか」


それから、すぐ解放してくれてお弁当を最後まで食べ終え教室に帰った。


そして、授業を普通にし帰りの時間。
私は帰宅部で放課後は帰るだけ。
「萌愛ばいばーい」


私はいつも風矢を待っていた癖で最後まで教室に残ってしまった。
あー、まだ忘れられない。体が勝手に。
仕方ない。勉強していくかな。


そう思い、ノートを出していると
「萌愛…」


この声…私が昨日まで近くで聴いてた大好きな声。そして、今の私を苦しめる声。でも、体が反応してしまう。体がまだ好きなんだって言ってる。


「ふう…や」
泣きそうな声だと思う。
でも、それを気づかれたくない。


風矢は私のところまで来て真剣な顔で
「萌愛って、板野龍樹と付き合ってんの?」
風矢は心なしか悲しそう。
なんで?私をフったのは風矢なのに。


「…付き合ってな…」
「萌愛!早く帰るぞ」
私は付き合ってないと言おうとした。