◆ 一生、叶えるつもりなんてなかった。 恋に落ちたときには、もう失っているような恋だった。 『虹と付き合うことになったから。ごめんね、千尋』 千歳くんにそう言われた日、一度、完全に自分の気持ちに蓋をした。 ずっと見てきた。 出会った頃からずっと。 虹が、千歳くんに恋をする姿を。 俺の方なんて目もくれずに、特別な表情を千歳くんにだけ見せる虹を。 だから、一生叶わないって思った。