「………お昼なら、一緒に食べない」





間抜けなくらい単純だ、私は。



水嶋くんと私の間柄は千尋が思っているようなものではないけれど、

心配しすぎな千尋が、
私が傷つくのが嫌だと言った千尋が、

水嶋くんをだめだと言うのなら、やっぱりもう仲良くなりすぎるのは止めておこう、なんて素直に従おうとする馬鹿みたいな私がいる。



この前まで、千尋には関係ない、なんて心がそっぽを向いていたのに、クレープを食べながらあんな風に言われたら、もう降参するしかなかったんだ。
それで、今、千尋のいったことを聞こうって思ってしまっている。





恐る恐る水嶋くんをうかがえば、ゆるりとした表情は健在だけど、彼は笑ってはおらず、おそらく鮭のおにぎりが四つ入っているのであろうレジ袋を手首にぶらさげたままズボンのポケットに手をつっこんでいた。



カサリ、となる袋に、水嶋くんは何を今考えているのだろう、と思う。