大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






「どこって、クレープ食べに行く」

「え、」




「なに、ゲームセンターのほうがいい?」



わずかにむっとした顔をつくった千尋に、昨日のことを思い出した。



昨日、千尋はいつから見ていたんだろう。
ちっとも気配に気づけなかった。


二度聞こえた音は、気のせいなんかではなくて、千尋が出した音なのかもしれない。きっとそうだ。

カーフィーのぬいぐるのことで水嶋くんが私に何か言っていたのを曖昧だけど覚えている。それをたぶん千尋も聞いていたんだろう。




そういう推測はできるけれど、なんで今むっとしたのか分からないし、そもそもなんで千尋がクレープを食べに行こうとしているのかは謎すぎる。


いつも、よりたい場所があるときは、せいぜいコンビニくらいだけど、それでも私に許可をとってから行く千尋だ。


なんだか、今日は強引だし、幼い頃からそこまでクレープが好きではない千尋なのに。クレープが大好きなのはむしろ私の方で、千尋が率先してクレープを食べに行きたいなんて言うなんておかしい。