大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





彼女たちに視線を合わせないようにして、俯きがちに通り過ぎる。

そうしたら、「なに、あれ。枢木虹、優越感浸った顔で隣歩いてんのむかつく」なんて、背中に声をぶつけられた。

運動部の派手な子たちだから、性格も強めなのかもしれないけれど、そんな風に言われてむかつかれても、優越感なんて感じていないし、困る。
完全なやっかみだ。


あなたたちには分からないかもしれないけれど、今こっちはかなり気まずい状況なわけで。





……本当に今日は散々だな、と思ってぎゅっと唇をかんだら、ほんと女ってうっせーんだけど、って珍しくきつい口調で、私にいうでもなく千尋が小さく呟いたから、千尋のせいだよ、とこころの中だけで返す。





気まずい。

分かってた。
でも、気まずいのは嫌だ。


こんな風なら、昨日の方が、楽しかった。
水嶋くんといたほうが、気持ちが楽だった。



千尋のことは好きだけど、そう思ってしまいそうになる。