大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】














「…おまたせ、千尋」

「うん」



下駄箱に背を預けて唇を結んだままの千尋を見上げて、あーあ、やっぱり、と溜息をつきたい気持ちになる。 


気まずい雰囲気。

それは朝の別れ方を考えれば至極当然のこと。



今日は苦手な数学や物理基礎があったにも関わらず、時間の流れがはやくて、刻々とせまりくる放課後にお昼休みの時くらいからげんなりしていた。

それで、気がついたらもう放課後だった。



待ってなかったら怒る、なんて言ったくせに、私よりも早く待っていたのは千尋で。

明らかに機嫌の悪いオーラをだしているからか、他の女の子たちが寄りつくことも今日はなかっただろう。
センター分けの前髪もすこし崩れていて、他の人がいる学校という空間での彼らしくはない。