大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





取り残された私。



どんどん背中が遠ざかってゆく。



やっぱり、背中だ。
いつも、すぐに千尋は私に背中を向ける。



一方的に。
私の気持ちなんてひとつも受け取らず。




ズキ、と痛んだ心臓に、本当に朝から災難だ、と一度目を閉じた。





周囲の視線もかなり痛い、

私にだけそれを押しつけて自分はすたすたと学校に向かってしまうのも最低だ。



でも、それよりも。


私の事なんて好きじゃないくせに、意味分からない心配の仕方をして、朝が苦手なくせに早起きをしてまで怒ってくるのも最低。

虹には関係ないって自分のことは踏み込ませてくれないくせに、私のことは自分に関係ある、なんて当たり前のように言うのも最低。




本当に、最低で、最低で、


…ずるいよ、千尋。





立ち止まったままでいる私に、未だに、じろじろと四方から不躾な視線たちがおくられてくるのを感じる。



心臓も感情もあわただしくて、仕方ない。


だけど、遅刻するわけにはいかないから、千尋の背中が完全に見えなくなってから、私はゆっくりと歩き出した。





本当に、うんざりする。


私は、千尋のことを好きなんだって、あと何回思えばいいんだろう。