「じゃーね。枢木ちゃん。夜だし、すぐ家入ったほーがいーよ」



そうやって、くるりと私に背を向けてすぐに去って行った水嶋くんに、私は途中まで背中を見送ったけれど、水嶋くんが私を振り返って、しっしっ、て失礼なジェスチャーをしたから、おとなしくすぐに家にはいった。



水嶋くんがとってくれたカーフィーは、勉強机の隣の戸棚に飾ろう、なんてお気楽なことを考えながら。







ガチャリ、バタン、ってその音をだしたのは誰なのかってことも、

水嶋くんがひとり歩く秋の夜道で、「はは、動揺しすぎ。目、見開いちゃって」なんて意地悪に小さく笑っていたことも、




すべて知るよしもなく。