「…えっと。水嶋くん、どうしたの?」

「どうしたのって、分かるでしょ。伝えたいことがあるので放課後に校舎裏きてくださいって言われてさ、行くじゃん?そんで、告白されるって分かってるのに、どうしたの?って一応相手に言う感じと今のって一緒だよなー」

「………」



変なたとえ。

ゆるく口元をゆがませて、私の机に両手をついて、秀逸なたとえでしょー?と間延びしたような声がいう。



確かに、その通りなたとえだけど、ここで頷くのも何か違う気がして、じっと水嶋くんを見上げたら、彼は目を柔く細めた。



「お昼、一緒に食べよ」

「………」

「機会なら作るって言ったでしょ、俺」




機会というより、ただ誘っているだけな気がするけれど。

水嶋くんが机の上に手をついたまま、座っている私に微妙に顔を近づけてきて。
まさか、断らないよね?って顔が言っているから、ちょっと椅子を後ろに引いてしまう。



「…分かった、食べよう」


流されてるって、たぶんこのことを言うんだろう。