夏の終わりに出会ったお姫様を迎えに。 醜くて、ずるくて、臆病な私を置いて。 「………くそやろうだ、」 パラソルの中に一人取り残されて、ぽつりとつぶやいた言葉は、すぐに私に跳ね返ってくる。 それから、いすから立ち上がって、千尋が消えていった方向とは逆方向に足を進めた。 なんで、涙がでないのか分からない。 こんなに、こんなに、苦しいのに。