苺チョコバナナ、ホイップ多め、トッピングはメープルナッツ、そんなこと覚えていることは千尋にとってはたいしたことじゃない。
でも、今、百瀬さんのところに行かないとって思ってる千尋の顔は焦っていて、百瀬さんのことは十分千尋にたいしたことがあることなんだ。
でも、嫌だ。
こんなに自分が穏やかでいられなくなるなんて生まれてはじめての経験で、戸惑ってる。
嫉妬に侵されて、ビョーキなのは、他でもない、私。
「……そばにいてあげる、って言ってた」
「……」
「わたしのそばにいてくれる、って。千歳くんのかわりに、いてくれるってずっと言ってたよ、千尋」
「虹、」
「嘘つきじゃん…そばに、いてよ。なんで、なんで、百瀬さんのとこに行くの?」
「……」
「千歳くんももういないのに、私はどうすればいいの?」



