もやのかかった未来を見ようとしたら、体の奥から震えが生まれて、一度冷静になるために目をつむる。
それから、ゆっくりと瞼をあけたら、水嶋君がゆるい表情にわずかに心配する色を含ませて私を見ていた。
「枢木ちゃん?」
「…なんでもないよ」
水嶋君は深く聞いてくることもなく、あっさりと、そっかー、と相槌をうって、食べ終わって膝の上にのっている鮭おにぎりのゴミをコンビニの袋にまとめた。
私はもう食欲がどうしてもでそうになく、心の中でお父さんに謝って、あと一口分だけオムライスを残したまま弁当箱にふたをする。
そのときちょうど、予鈴がなった。
ひっそりとした冷たい屋上に続く階段の踊り場に、平べったくその音たちは乗って、逆に私と水嶋君の間で生まれていた沈黙を際立たせた。
それで私は、あらゆることに耐えられなくなって、立ち上がる。



