そんな周りには目もくれず、近づいてきた彼の足は、私の真っ正面でぴたりと止まった。 それから、オマケみたいにひらひらと手をふってきたから、思わず顔をしかめてしまう。 美優は隣で、なんで?え?と困惑した声をだしているけれど、なんで?って私もこの前からずっと思ってるよ。 「枢木ちゃん、」 何考えているのか分からないトーンで、名前を呼ばれて瞬時に返事をするのを躊躇ってしまう。 なんとなく嫌な予感はしていたんだ。 彼は私に、用があるんじゃないかって。