靴のにおいが充満する下駄箱で告白する気持ち。


私にはあまり理解できないことだけど、下駄箱の隅の方が死角になることと放課後の帰宅ピークがすぎれば人がほとんどいなくなることを考えれば、まあ頷ける部分はある。





だけど、そう。



「……あの、きてくれてありがとう」

「うん。ちょうど帰るところだったし」




例えば、どこかの少女Aの告白の相手が、自分のよく知る男だったら、頷ける部分があるにしても、なんとなく気まずいものだ。



下駄箱によりかかりながら、ゆっくりと息をはきだす。






これで、17回目だ。








何がって、




「わ、わたし、朝比奈くんのことがずっと好きで、」

「あー、うん」

「それで、もしよかったら、付き合ってくれませんか?」




幼なじみの、朝比奈 千尋が、告白されているのを聞くのが、だ。