「てか朝、お兄ちゃんに会うのって久々じゃん!」

そういえばそうだ。

いつもは柚姫を向かえに行くために早く家を出ていたから……。

そっか……もう早くでなくてもいいんだ。

朝の弱かった俺は、柚姫のおかげで学校を遅刻しなくなっていた。

「じゃ、私行くから。」

「いってらっしゃい。」

母さんと雅の会話を聞きながら俺は机にうつ伏せになった。

「……どうした?」

そこには玄関まで雅を見送っていた母さんがいた。

「別に……」

母さんは俺の髪をグシャグシャにした。

「柚姫ちゃんでしょ?」

……えっ?

何で母さんが柚姫の事知ってんだよ…。

俺はうつ伏せにしていた顔を上げた。

「柚姫ちゃんから聞いたわ。」

俺は母さんの顔をじっと見つめた。

「和詩が家に居なかった時に、柚姫ちゃん一回家にきたのよ。あんたと付き合ってるって聞いたわ。」

「……そっか。」

「別れたの?」

話を続ける母さん。

俺は小さく頷いた。

「何で?」

母さんは俺に聞いてくる。

「俺さ昔、警察沙汰の事件おこしてんじゃん?その事を知った柚姫の親に、別れて欲しいって言われた。」