「柚姫、気にすんなよ。部屋戻るぞ。」

智尋の後をついて階段を登る。

「……柚姫はまだ和の事好きか?」

智尋は私を自分の部屋に入れてくれた。

「うん…。好きだよ?」

誰よりも好き。

私は和詩の事が好き。

和詩が『別れろよう』って言った理由もわかってる。

私のためってこと。

けど、私はそれでも一緒に居たいよ。

自分の気持ちに嘘をついてほしくない。

私は、和詩の全てが好きだと言える。

優しい所も甘えてくる所も意地悪な所も……。

寝顔も笑った顔も泣いてる顔も照れてる顔も……。

全部が好き。

私には和詩しかいないんだ。

「その気持ち、忘れんなよ。」

そう言って智尋が私の頭を撫でてくれた。

私は声を上げて泣いた。

「離れたくないんだろ?」

智尋の言葉に頷く。

「今日は泣いてもいいから、明日は笑えよ。」

智尋は私を部屋に置いて出ていった。

私はまた、和詩を愛して良いの?

和詩はまた、私を愛してくれる?

何かトラブルがあったらその分絆が深まっていって……。

私はそれが嬉しかった。

和詩の言う言葉や行動で私はいつもドキドキしていて………。

和詩になら初めてを捧げてもいいと思った。

いつの間にか私の全てが和詩に染まっていたんだ───…。