「…ええ、そうね」

部屋から聞こえる吐息と変な声。
「また変な男を連れてきてる」母が連れてくる男は大体臭いし気持ち悪いし怖い。
お父さんはお母さんの酒癖と性格が悪すぎて出ていってしまったそうだ。昔のお母さんはとても優しくて、思いやりのある人だったのだが、せかいはかわったもんだな。

家に居るのが嫌で無理矢理学校に行くが最近は虐待を受けるようになった。母にも男にも「私は娘じゃない」そう。そうやって信じるんだ。逃げたい。逃げさせてよ。

どこに?

どこでもいい。

「おい!スザク!」
「…違う。私の名前はらっ」
「あ"?ぉえ。あいつの子供じゃないんだからさっさと名前変えろよくそ。」
「すみません…」

カットバンを思いっきり剥がされ、痛い
髪の毛を思いっきり引っ張られてぐっと持たれ痛い、痛い痛い痛い痛い。
親が憎い。死んでしまえ。

「ぐはっ…」
「…え?」
「鍵空いてたしお前学校来ないから迎えに来たんだけど痛そうなことされてんな。」
「てめぇ!…よぐぐぐぐいでぇっ。」
「窓から逃げろ俺は此奴を縛っとくから」
「あ、ありがとう!」

私は窓を開けて逃げようとした、が。
母に足を掴まれてバランスを崩しそのまんま落下した。
痛い…いや、痛くない。

そっと後ろを見てみれば桐崎 奏が下敷きになっていてくれて…

「大丈夫か?間に合ったか?泣いてないか?いや泣いてんだろ!?って冗談…じゃないみたいだな。どうしてなく?痛くないだろう?俺が助けたんだぞ?」
「…あ、…助けにきてくれたのが、初めてで…うれし…くて、ありがとう…って初めて…言って…」

ぐぅ〜〜〜〜〜

「あー。お前まさか。腹減ってる?」
「私じゃない」
「…そこは素直に腹減ってるって言ってくれよ!俺が腹減ってんだから!」
「じゃあ腹減ったわ」
「遅い!遅い!完璧遅いだろうが!」
「私から金奪い取る気?」
「ちょっと待て俺が助けたのに何でそんなに警戒心なんだよ。」
「とりあえずお腹減ったわ!桐崎 奏」
「おう!とうふ!俺んち来い!」
「は?」

また、太陽みたいな笑顔が
心が痛い。
どうしてこんなに笑っていられるの?
あなたは私が嫌いじゃないの?

まるで今は小説の世界みたい。
心が本当に痛む。
この笑顔を見ていれば、生きていける。
減っているお腹だってとても満腹になる。

これは、友情?それとも恋?