「挨拶!?」

全く浮いた話がなかった私が結婚すると知ったら、親は卒倒するんじゃなかろうか。

「俺の両親はいつでもいいから。それから式場やら新居やら考えないとな」

課長は生き生きとしている。

段取りが凄い。

仕事が出来る人は、こういう時も凄いのだろうか。

会議室を出た私たちは二人並んで営業部のフロアに向かって歩いていた。

別々に行ったほうがいいと、私は主張したけれど、敢えなく却下されてしまった。

課長は周りに一切隠さないらしい。

「結婚式は女の子の憧れだろう?柴本さんの希望は全て叶えるから」

「ありがとう、ございます」

「一生、大切にする」

「ひょえっ」

営業部のフロアに入る直前、課長は耳元で囁いた。

甘い、甘い、私だけのプロポーズ。




『上司にプロポーズされて困ってます』完結