そして、ゆっくり、ゆっくりと黒色の物体に近付いていく。 ……慎重に。落ち着け。慌てるな。 そう自分に言い聞かせる。 いくら鈍いとはいえ、気付かれたら食われる。 そうなったら……。 慌てて頭を左右に振った。 嫌な考えはよそう。 今は、集中しなきゃ――。 「にゃおん」 不意に、鳴き声が聞こえた。