「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい。頑張ってこい」

今日のオーディションは12時から
早めに行って、気持ちを落ち着かせよう…

一昨日と同じ会場に入るけど、
えーっと…ん?あれ、

受付の人も、溢れかえっていたオーディション生も居ない…

もしかして、時間間違えた?!
時計を見てもまだ12時少し前

…なんで誰もいないんだろ、

だんだん不安になって、もらった名刺を出し、大野さんに掛けてみた

『もしもし大野です』

「あ、伊藤、紫音です…」

『お!紫音さんか!どうしたの?』

「あの、今会場に着いたんですけど、受付の人が居なくて…というより、人が全然居なくて…
私、時間間違ってきちゃいましたか…?」

私がここにきて見た人は3人だけ。
本当に時間を間違えたんだろうか、

『今日は受付無いんだ!だから僕がシオさんを案内することになってたんだけど…
思ったより早くきてたみたいだね!
今行くから待ってて?」

なんだそう言うことか…でも、もうちょっと人がいてもおかしくないのに。

「お待たせシオさん。早いね?」

「おはようございます!
ちょっと練習しようかと思って早めに来たんですけど…もう時間ないですよね?」

「ううん!あと15分くらいなら大丈夫だよ。
審査室の隣で練習してくれていいから!」

部屋まで貸してくださるとは…

「じゃあ案内するね!」