千翼side

西沢千翼(にしざわちひろ)
17歳高校3年生

紫音とは赤ちゃんの頃からの幼なじみで、大切な人。

俺が小学五年生の時、何も言わずに紫音は居なくなってしまった。

ここ1年、オーストラリアに留学をしてて、
久しぶりにいぶき学園に戻ってきた。

紫音がここに通ってることは知っていたから、今日は必死に探し回っていた。

…いた。顔が変わらない人は美人だと言うけど、本当にその通りだ。

何度読んでも気づかないのは何でだ?

「紫音?
なぁんで無視すんの?」

目の前に立って顔を覗き込む

「…どちら様でしょう、か?」

おっと、?俺ってそんなに顔変わったの?

「久しぶり、俺千翼だよ。覚えてる?」

「…は、え?は?!
いや、ご冗談を…」

未だに分かってくれない彼女は、そのまま帰ろうとする

「待って待って!?
本当だから!ほら名札見て?」

チラチラ周りから聞こえる黄色い声が耳障りだが、いまわそんなことどうでも良い。

「嘘、嘘でしょ、」

「本当。
…ずっと、ずっと会いたかった。会えて嬉しい」

10年ぶりくらいだけど、昔の癖でそのまま紫音に手を伸ばしてしまったのが間違いだった。

「ちょちょちょっ!?いや待ってくださいっ…私帰ります、」

「え?」

めちゃくちゃ走って帰っちゃったんだけど、?
俺今から一緒に帰るつもりだったんだけど、?