「ちぃ君、怒んないでよ〜」
「……」
…私伊藤紫音、西沢千翼君に拗ねられました。
数分前
朝起きた時もまだ微熱があって、咳もしていたし、
喉も痛いって言うから、はちみつレモンの飲み物とマスクを渡したのね?
そしたら、
「…マスク苦しいから嫌」
とか、
「暑い」
とか、
「紫音にキスできなくなるからしない」
だとかいってマスクをしないこの子供さん。
ちゃっかりはちみつレモンの飲み物は飲むんだけどね?
それに、まだ終わってない仕事があるのかパソコンを開こうとまでするんだよ?!
「もー、ちぃ君!治らないからちゃんと休んでよ!?」
「嫌だ。暇だもん。紫音こっち来てよ〜」
「隣座ったら休んでくれる?」
私はちいの座るソファに座った
「んーどうかなー」
「ちょっと、近い…!」
ジリジリと顔を近づけてキスしようとしてくる
「キスしようとしてるんだもん。そりゃ近いよ」
そんな開き直った顔で言わないでくれますか?
当たり前〜みたいに言ってくるけど、
私、一応歌手なんです。風邪うつっちゃって声出なくなると困るんです。
「ちぃ君。風邪が治るまでキスしないから。
あと、無理に仕事したら風邪治っても1週間はキスしないからね」
「はぁ?!…ゲホッ、」
「ほらでかい声を出さない!分かった?」
ここまで言えば引き下がるだろう。
「…紫音、いつからそんなに意地悪になったの。」
「どっかの誰かさんがいうこと聞かずに子供みたいなこと言ってるからだよ〜」
よし、そろそろ防音室に篭ろうかな。
と思ったところで、昨日の出来事を話してないことに気づいた
「あ、そうだちぃ君。
私、今度ドラマ出ることになっちゃったの」
ちぃ君の風邪で言うのすっかり忘れていた。
「…いや、なんの嘘だよ?
紫音って顔出しNGだろ?」
「それがね〜」
昨日の出来事を寝転んでいるちぃ君に話した
「おいおいまじかよ…もっと早く言えよな、」
「だってちぃ君、帰ってきたら風邪ひいてたんだもん!」
「……。ちっ、今風邪ひいてるのがいろんな意味ですげえムカつく。」
「そんな怒んないで…?ね?」
てな事がございまして、私は無視されていました。
「俺の知らないとこで紫音は有名になってくし、キスしないとか言ってくるし…」
すぐに知らせなかったことが気に食わなかったみたい…
「ごめんね?すぐ言わなくて」
「…いいよ。」
いいよとは言ってくれたものの、まだ納得してないよう…
あ、そうだ。
「これで許して?」
「…?!」
私はちぃ君のおでことほっぺにチュッとキスをしてリビングを出た



