「今日の授業はここまでな〜
あと伊藤放課後職員室来るように」

「は、」

なんで?!今日は特に早く帰りたいんです…!

「しぃどんまい。なんかやらかしたの?」

「え…私なんかしたのかなはるちゃん、」

「知らないわよ」

今日もはるちゃんはサバサバです。

放課後、猛ダッシュで職員室まで駆け込んだ。

「…失礼します、黒崎先生いますか?」

「いるよ〜」

「んなぁ?!…びっくりした…」

「そんなに驚くなよ」

いつの間にか私の真後ろに立っていた先生。

「御用はなんでしょうか。」

「御用はこれ。はいどうぞ」

渡されたのは手作り感満載のプリントの本。
これは、

「英語の苦手な伊藤の仕事の足しになればと思ってね?
歌詞として使いやすい言い回しとか、英語でよく使われる表現を思い当たるだけまとめてみた」

「…先生最高です。」

わかりやすい様にまとめられた本は、私にとって神の本だ。

「どう?使えそう?」

「はい!もうめちゃくちゃ助かります…!」

「なら良かった。まぁこの文章何だかんだ勉強になるから、思う存分使ってあげて?」

「…ありがとうございます!本っ当、先生最高ですめちゃくちゃ嬉しいです!」

これで私の歌手としての幅が広がる…!