亘さんは世渡り上手



人気の少ないところへ向かって行き着いた先は、休憩スペースのために解放されていた三年生の教室。


窓を覗くと、そこからは文化祭の様子がよく見えた。


屋台の宣伝のためにプラカードを掲げて勧誘している三年生。運命の人ゲームで数字が揃った男女。演劇部なのか、即興劇をして周りを盛り上げる姿もある。


有志で芸を披露している体育館から、バンド演奏の重低音。


その音と同じように、俺の気持ちはどんどんと盛り上がっていく。



「……そういえば、今日はデート、なんですね」



二人で窓の外を眺めていると、亘さんが呟いた。頬が赤い。



「亘さんはなんだと思ってたの?」


「えっ…………」



亘さんはうつむいた。


だけど、その真っ赤な耳が丸見えだ。



「…………でっ、デート、です……」



パシャ。俺は堪らずスマホを取り出してシャッターを切る。



「あっ! ま、まだ……!」


「これは待ち受けものだなぁ」


「まっ、待ち受けは、一緒に映ってるものにしてください!」



だから消してください! と焦る亘さん。


困った。煽られている。


可愛すぎる。今の表情も撮りたいし、さっきの写真は絶対に消さない。