しばらく呆気に取られてポカンとしてしまった。
我に帰って亘さんに顔を向ける。
「……いっ、和泉くん!」
「ん?」
同時に亘さんが勢いよく俺を振り向くので、顔を覗き込んだ。
なにやら焦っているようだ。少し顔を赤くさせて、真剣に俺を見つめてくる。
瞳に吸い込まれそうだな、なんて思った。彼女の瞳は無表情だったころから光を集めてきらきらと輝いていて、見ていて飽きない。
「どうしたの」
「しゃ、写真! わたしも、和泉くんと写真を撮りたいです!」
わくわくした様子が手に取るようにわかる。
俺は、亘さんがその言葉を口にしたことに驚いていた。
亘さんは、自分を信用できていなくて。そのせいで笑顔で写真に映ることができなかった。
それから、谷口とぶつかり合って、三好先輩に立ち向かって――。
変わったのだろうか。亘さんは、周りの環境と自分自身の力で。
昨日。文化祭の舞台に立ったとき、自分に自信を持って、胸を張って笑うことができていたなら。
そして、それを自覚した上で、勇気を出して誘ってきてくれているのだとしたら。
亘さんはにっ、と笑った。
柔らかな微笑みも、心から楽しんでいる笑顔も、そして、自信を持った笑顔も……。
敵わない、本当に。
亘さんはいつだって俺の少し前を歩いていくんだから。



