亘さんは世渡り上手



それから俺達は昼食にからあげを食べて、谷口へのお土産を腕に引っ提げながらクラスの展示を見ていく。



「あ! ミスコンの人だ! やっぱ彼氏いるんじゃん……と思ったらミスターコンの人じゃん」



途中すれ違った人からはそんな言葉をかけられる。


やっぱり亘さん、昨日のことでもっと注目されるようになっちゃったよな。


よそ見してる内に誰かが奪わないように、ちゃんと見ておかないと。


手とか繋ぎたいけど……付き合ってるわけでもないのに焦りすぎだよな。



「あの……写真撮ってもいいですか?」



隣で歩く亘さんの手のひらに意識を取られていると、そんな女子二人までもが近づいてきた。あ……これは、俺に対して言ってるのか?


俺達は別に芸能人でもなんでもないから、ファンサービスなんてものはしたくない。


どうせ少しの間だけの熱だ。数週間も経てば、俺達の周りに漂う変な空気もなくなるはず。



「えっと、ごめん。俺達今デート中だから、邪魔しないでもらえるかな」



よそ行きの笑顔で対応する。なるほど、こういうときに使えるのか。偽物の笑顔も役に立つもんだ。


女子二人は残念そうにするも、大人しく離れてくれた。それを見ていた他の人も、緩やかに去っていく。


え……あの数全部俺か亘さんを狙ってたってこと?


こわ……。