亘さんは世渡り上手



二人と別れて、ようやく心に余裕ができる時間になった。


脱力して、その場に座り込む。


皐月のことは、一旦忘れよう。だって今日は、そんなことよりもずっと重要な日なんだから。


今日、俺は……亘さんに告白する。


お祭りムードに身を任せてしまおう。勢いでも、俺の気持ちであることには変わりない。



「……和泉くん? どうしたんですか、こんなところで座って」



ふ、と影がかかって、愛しい彼女の声がする。



「終わった?」


「あ、はい。お待たせしました」



俺は立ち上がって、亘さんを見つめた。


落ち着く。安心が俺を包み込んでくれる。


今すぐ抱き締めてしまいたい。


もっと緊張するかと思ってたけど、案外そうでもないんだな、告白の前って。俺だけかも、しれないけど。


きょとんとした亘さんの表情。


俺は衝動を抑えられなくて、そっと彼女の頬に手を当てた。



「可愛い。メイクしてる?」


「はい……。勉強、しました」


「自分でやったんだ?」


「悠里ちゃんはもうしてくれなくなりましたから……」



すねた口調で言ってるけど、悲しんでいるのは丸わかりだ。


俺のせいで二人が不仲になってしまっているなら、どうにかしないといけないけど……。