と、決意したのもつかの間。



「亘ちゃん、お昼一緒に食べよーよ」



翌日、昼休みに三好先輩がやってきた。


廊下側の窓に寄りかかって爽やかに笑う三好先輩。途端、女子の黄色い声が至るところから聞こえて、男子の嫉妬の炎がふつふつとわきあがる。



「ちっ、ちぇ、ちぇっ」



高橋もその男子の一人だった。三好先輩を睨みながら、何度も舌打ちをする。なんでちょっとバリエーションあるんだよ。


亘さんは逃げるように谷口の元へ走っていた。



「あ、あのわたし、悠里ちゃん達と食べるので……」


「えー、じゃあ、僕も入れてよ」



ゆっくりとした所作で教室に入ってくると、まっすぐに亘さんの方向へ歩いていく三好先輩。



「フラれてるの、わからないんですか?」



谷口が立ちはだかった。



「迷惑だって、言ってるんですけど」


「……え、まさか、僕が?」



三好先輩は目を丸くして、自分を指差す。自分が女子に迷惑がられるなんてありえない、というような表情だ。


ミスターコンに出るような人だし、よほど自分に自信があるんだろう。完全に本気で言っていた。



「うーんと……でも僕、彼女みたいな子に出会ったのは初めてなんだ。ビビッと来たっていうか、つまりは、嫌です」



そう言って歯を見せながら笑う姿は、さぞかし絵になることだろう。


だけど、俺の目には震える亘さんが映っている。