「珍しいね、谷口がイケメンに目が眩まないなんて」
「はぁ!? あんなわかりやすく叶葉を狙おうとしてる男、どこがいいっていうの!?」
昇降口で靴を履き替えているとき、八木の言葉に谷口は大きく反論した。
「ね、狙おうとしてるって……や、やっぱりそうなんでしょうか……」
亘さんが困ったようにうつむく。
……まぁ、三好先輩が一目惚れするっていう理由もわかる。
夏休みが明けて突然無表情を克服した当初は、ちらほらと教室へ亘さんを見に来る人もいるくらいだった。谷口の攻防があって、亘さんは気付いてないみたいだけど。
今まであんなにわかりやすい好意を向けてくる人がいなかったからか、亘さんは三好先輩が苦手なようだ。俺としてはありがたい。
「三好鉄平。その甘いマスクで多くの女子を虜にしているものの、彼女はなし。特技はバスケ。ミスターコン優勝候補の一人だな」
宇佐美がすっかり情報屋キャラになっていた。メガネをかけているわけでもないのに、フレームを持ち開ける動作をしている。
「理人とはまた違ったベクトルのイケメンだよなちくしょうが!」
高橋は嫉妬に狂っていた。



