亘さんは言葉を失ったようだった。
何かを言おうと口を開いては閉じて、慎重に言葉を選んでいる様子が伺える。
「やっぱり、いつも通りは無理がある?」
「ええと……そう……ですね。心配は、してしまうと思います」
亘さんは、俺から目を離さなかった。
「でも、あなたと一緒にいたいという気持ちは変わりません。もっと仲良くなりたいと、そう思います」
ぎゅっと胸が掴まれたように苦しくなる。
あぁ……ダメだ。これ以上は。亘さんの目が、まっすぐと俺を見据える視線が、俺を捉えて離してくれない。
思い出せ、思い出せ。亘さんが俺に何を求めているかを。
そう……そうだ。亘さんは、俺と友達でありたいと思ってるはずだ。
「わたしはどんな和泉くんでも好きですから」
これでもかというほど笑顔を多用してくる亘さん。
メモ帳書かれていた言葉だ。まるで告白みたいな、俺じゃなかったら完全に勘違いするような台詞。
ずるいよな、ほんと。
「……ありがとう、亘さん。俺も……」
どんな亘さんでも――。
「もっと亘さんと友達でいたいって、そう思うよ」
どんな亘さんでも、好きだよ。



