「いや、でもなんかそれって好みよりも人物特定されてません?」

ドキッとした心臓が加島に聞こえていませんように。


「元カレっすか」

「さて、もう寝ようかな」

「誤魔化すの下手ですね」

クスクスと笑ってきたから、私は不機嫌に口を尖らせる。


「つまりアレだね、私はブラコンで加島はロリコンだから全然好みのタイプが違うってことだ」

「ちょっと待って。今すげえ言葉に語弊がありましたよ」

「あった?」

「ありまくりです。つまり、先輩が年上好きなら俺を好きになることはないし、年下好きの俺が先輩を好きになることはないってことで」


そう言われてハッとした。

……そうか。だから加島は私を頼ったんだ。


私たちが恋愛関係にならないと分かっているから、加島は平気で裸でうろうろしたりするし、こうして同じ部屋で寝られる。


加島はバカだけど、案外賢い。


そのあとすぐに加島の寝息が聞こえてきた。人の家でこんなにも寝つきがいいなんて、やっぱり加島は神経が図太い。

なんだか同じ部屋に誰かがいることに慣れなくて、結局私のほうがなかなか眠れなかった。