「水沢先輩は年上好きっぽいですよね」

その口調でニヤリとしていることは分かった。


「まあ、たしかに年上の人しか好きになったことはないかな」

年上好きと断言されると否定したくなるけど、目を奪われるのは大抵大人の人。

だから私は同級生たちが『きゃーきゃー』と加島に色めきだっていても興味がないし、そんなに魅力があるかなと疑問に感じてしまうんだと思う。


「私、小さい頃にお父さんを亡くしてるから年上の人に妙に惹かれるっていうか、ぶっちゃけブラコン気質なのかも」


甘えたい時に甘えられなくて、お母さんの負担にならないように生きてきたから、大人の人が広い心で包み込んでくれたりするとキュンとなる。


「スーツ姿の男とか好きそうですもんね」

「分かる?そうなの!あと腕捲りする時にボタンを外す仕草とか、ネクタイを肩にかけてなにかの作業してる時とか、くわえタバコの煙で目を細めてる姿とか、もうたまらなく好きなんだよね!」


思わずベッドから身を乗り出すように興奮してしまい、横になっていた加島と目が合った。

ヤバいと思った時にはすでに遅くて、自分のストライクゾーンをつい加島に喋ってしまった。


「……引いてる?」

からかってくると思いきや、なにも反応してくれないから不安になった。